あるまじろの読書日記

「なぜ、本を読むんだい?」「そこに本があるからさ!」興味のあるテーマは歴史とサイエンス。アラサー。関東在住。文章力が低く時折エラそうな書き方になりますが、どうかご容赦ください。( ̄ー ̄;

NASAより宇宙に近い町工場

              

誰かに勧めたい本で個人的No1に推薦したいのがこの本。結構有名な本なので、知っている人も多いと思う。現代社会を生きていると、様々な理想と現実のギャップに悩むことがあるが、この本はそうした悩みに対して明確なアドバイスをくれる本だ。

世界中の人が、労働の意義や企業の存在価値について疑問を抱いていると感じる。その疑問とは、終わることのない大量生産・大量消費社会についてである。似たような商品やサービスを次々に提供し、膨大な広告宣伝によって購買を勧める社会のあり方だ。次々と登場する商品やサービスの購入のために人生の大半を労働に費やし、ローンの支払いに追われる生活。

定期的に利益を出し続けるために、メーカーはわざと「壊れやすい製品」を作る。商品やサービスを買わせるために、心理的効果の強い広告宣伝で消費者を煽る。価格競争に勝つために人件費を削り、一人当たりの労働量を増やし、ブラック化していく企業。枯渇する資源。

こんな世の中に辟易している人たちが増えているように感じる。「草食系」や「ミニマリスト」などの言葉の出現がそれを象徴している。元ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカ氏のスピーチや本がヒットしたのも、氏の主張がこうした疑問に1つのヒントを示すものだったからだろう。

本書もこうした疑問に対する解決のヒントをくれるものだ。著者の植松努さんは故郷の北海道の小さな町で宇宙開発の会社を運営している。過疎化が進み、雇用も少ない地域で敢えて宇宙開発を成功させることで「どうせ無理」という言葉を世の中からなくしたいというのが筆者の主張だ

しかも、国の補助金や外部からの援助に頼らず、リサイクル事業で稼いだ利益を主な原資として宇宙開発を行っている。これも、「国に頼らず、民間の力で宇宙開発は出来る」ことを示したいからだと言う。その結果、類を見ない無重力実験施設を独自に作ったりしてしまった。

植松さんは「誰もやったことがないこと」に挑戦するべきだと主張する。たとえ失敗したとしても「だったら次はこうしてみよう」と考えてやり直せばいいだけだと。その過程で分からないことがあったら調べればいいし、知らないことは「本」から人類の積み上げてきた叡智をいくらでも学べると言う。確かに、その通りだ!

誰かと同じことばかりやっているから不毛な安売り競争やコストダウンに陥るのであって、それなら真似のできない価値のあるものを作れば良い。もちろん「それは理想論に過ぎない」「ヒト・モノ・カネのある大手に勝てるわけがない」という意見もあるだろう。そこで自分達が宇宙開発を進めることで、そうした「どうせ無理」という意見をなくしていくことが、植松さんの目標だという。

本書を読んで、これからの社会もそうあるべきだと感じた。すなわち、イデアのある個人や小規模組織が、前例のない価値のある商品やサービスを次々に作り出していく世の中。そしてその中から環境に優しい商品やサービスが現れ、社会を変えていく。

現状そうなっていないように見えるのは「他社の模倣」や「二匹目のドジョウ」でリスクを冒さず利益を得たいという企業が多すぎるからだと思う。未踏の領域に踏み出すことは確かにリスクも伴うが、それをやることこそが社会的な労働の意義であり、企業の価値ではないだろうか。多くの人がそれぞれの領域でアイデアを出し、新しいことに挑戦し続けることで、世の中は必ず良い方向に変わっていく。歴史を見れば、今の世の中も、リスクを冒して挑戦してきた人たちの努力によって作られてきたのだから。

ちなみに、植松さんは他にも本を出していて、こちらもオススメだ。

          

植松さんは今の世の中にとって本当に大切なことを提示してくれていると思う。今後も注目していきたい。