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あるまじろの読書日記

「なぜ、本を読むんだい?」「そこに本があるからさ!」興味のあるテーマは歴史とサイエンス。アラサー。関東在住。文章力が低く時折エラそうな書き方になりますが、どうかご容赦ください。( ̄ー ̄;

ムハンマド

読書 歴史 伝記

              

イスラム教の創始者にして、イスラム教では最高にして最後の預言者とされるムハンマドの生涯を綴ったもの。著者のカレン・アームストロングはユダヤ、キリスト、イスラムの3つの宗教の研究家でもあるらしい。TEDにも出演経験があり、好評だったようだ。個人的にも良かったので、まだ見ていない人は是非見て欲しい。

イスラム教というのは特に誤解されている宗教の1つではないだろうかイスラム教徒の多い中東地域では内戦や過激なテロ行為が行われており、それらのニュースを目の当たりにして、イスラムは危険思想と言う人達もいる。

しかし、イスラム教はユダヤ教キリスト教の流れを汲む宗教であり、元々の根っこは同じなのである。また、ユダヤ教キリスト教イスラム教を認めなかったが、イスラム教では、人頭税を納めるという条件付ではあったが、ユダヤ教キリスト教など異教徒の宗教的自由を認めていたのである

トルコを長く支配していたオスマン帝国は宗教的にも寛容で、ギリシャ人やユダヤ人の移民を積極的に受容れていたし、インドを長く支配していたムガル帝国の皇帝アクバルなどは、人頭税をも廃止して宗教的融和を実現している。(このアクバルは融和の象徴としてインドでも人気が高いらしい)この2つの帝国が何百年も続いたのも、決して異教徒への寛容さと無縁ではないと思う。

一方キリスト教世界では異端審問、ユダヤ人迫害、十字軍など、異教徒や異端に対して暴力的だったのは言うまでもない。むしろ寛容の精神を欠いていたのはキリスト教世界だったのだ。もっとも、これらの事件についてはローマ教皇も誤りであったと認めているし、キリスト世界にもマザーテレサのように宗教を超えて尊敬を集める人もいる。

最近の中東地域における紛争やテロ、欧米との対立は、宗教よりもむしろ政治的な側面が大きい。パレスチナに関しては元々イギリスが問題を複雑にしてきた経緯もある。石油など資源問題もからんで利害関係は複雑だ。むしろ不満から生じた暴力やテロの正当化のために、宗教の教義の一部が利用されている、という見方が正しいだろう。もっとも、こうした思想の過激化は何も宗教に限ったことではない。

こうした歴史を知らずに、ニュースを見るだけで半ば感情的にイスラム社会に反感を抱く人たちがいるとしたらもったいない。2070年にイスラム教徒はキリスト教徒の数を超えると言われているし、東京五輪でも多くのイスラム教徒が来日することだろう。

ちなみに、僕が通っていた大学院の研究室にはイスラム教徒がいて、決まった時間になるとプレゼンの途中でも出て行って礼拝をしていた。忘年会でも彼が食べられるものは限られているため、イスラム教徒用の食事が提供できる店を探すのが僕の役目だった。しかし、そういう店は中々見つからず苦労したのを覚えている。イスラム教徒用のレストランなどは、今後大いに可能性のあるビジネスなのだそうだ

とにかく、まずは知ることが理解の第一歩だ。