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あるまじろの読書日記

「なぜ、本を読むんだい?」「そこに本があるからさ!」興味のあるテーマは歴史とサイエンス。アラサー。関東在住。文章力が低く時折エラそうな書き方になりますが、どうかご容赦ください。( ̄ー ̄;

奇妙な孤島の物語

              

本書は旅行ガイドブックではないし、美しい島々の自然や絶景を収めた写真集でもない(そもそも、写真は一切無い!)。書名にもある「絶対に行くことがないであろう世界の島々」でかつて起こった出来事や、島民の生活、歴史、文化などをそれぞれ簡潔に書き綴ったものである。著者も実際に訪れてはいないので、リアリティのある記述にはなっていないが、それぞれの島の由来や歴史についてよく調べてあり、なかなか面白い。グーグルマップを開きながら、想像力をおおいに働かせて読む本だ。出てくる島の大半はほとんど知られていない絶海の孤島ばかりだが、硫黄島やイースター島セントヘレナ島など、馴染み深い名前も出てくる。ちなみに著者はドイツ人女性で、ドイツではかなり売れた本だそうだ。

著者はとても面白いテーマに目をつけたと思う。例えば、日本で言えば小笠原諸島の島々は孤島に当たるだろう。小笠原諸島の父島は東京から1000km以上離れており、船で行くと丸1日かかる。飛行機で行ければもっと早いだろうが、飛行場が無いため飛行機ではいけない。小笠原が「外国よりも遠い日本」などと言われるのはそのためだ。生物地理区分的には「ミクロネシア地区」に属するらしい。(知らなかった!)

恐らく、大半の日本人は小笠原に一度も行く機会はないだろう。逆に小笠原から一度も出たことがない、あるいはほとんど出たことがない島民もいるのではないかと思う。しかし、小笠原は日本(東京都)の一部だ。だから中学校の歴史の授業では聖徳太子織田信長について学ぶのだろうし、地理の授業では小笠原ではなく本土の地理を学び、「京浜工業地帯」とかを覚えさせられるのだろう。

もちろん小笠原の地理歴史にも触れるだろうし、そもそも世界史などでは決して行かないであろう国や地域について学ぶわけで、そのこと自体は普通だ。しかし、地理的にも環境的にも日本の中心から大きく離れた地域に生まれ育った人たちは「日本」をどう捉えているのか、ということにとても興味がある。恐らく、本土に住んでいる人たちとは違う感覚を持っているに違いない。「外国よりも遠い日本」というのは、小笠原の人たちからしても同じことだ。

ここから先は想像上の話。仮に小笠原が「独立」したらどうなるだろうか。小笠原から少し南にいけば同じ民族が違う島国としていくつも独立しているわけで、決しておかしい話ではない。もし独立したら、小笠原では島民の感覚に近い歴史や地理を中心に教え、「国民」のアイデンティティを育てていくに違いない。

何が言いたいかというと、こうした感覚の違いが「民族意識」や「独立構想」を生むきっかけになると思ったからだセントヘレナ島はイギリス領だが、本土から離れすぎていて住人はきっとセントヘレナ島民意識の方が強いだろう。イギリス政府がセントヘレナ島民を怒らせるような政策を実行すれば、独立の話が出てくるかもしれない。そう言えば、昔イギリス政府が地球温暖化対策に冷淡な発言をして、ツバルでは英連邦離脱の動きが実際にあったらしい。(今本国もEU離脱で揉めてるけど・・・)

書籍の内容からは少しそれてしまったが、数多くの孤島のストーリーを読んでそんなことを想像して考えていた。学校のカリキュラムにはないけれども、こういう「島史」や「地域史」みたいなミクロな歴史を、現地住民以外の人が学ぶことはとても大事なんじゃないかと思った