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あるまじろの読書日記

「なぜ、本を読むんだい?」「そこに本があるからさ!」興味のあるテーマは歴史とサイエンス。アラサー。関東在住。文章力が低く時折エラそうな書き方になりますが、どうかご容赦ください。( ̄ー ̄;

ネルソン・マンデラ自伝 自由への長い道

          

南アフリカ元大統領ネルソン・マンデラの自伝。ネルソン・マンデラは僕が尊敬する人物の一人。その彼が自らの手で綴った自伝だ。

若い頃はヨハネスブルクで働きながら、弁護士を目指して日夜勉強に励んでいたというマンデラバス代を節約するため、10km以上の道のりを歩いて通勤し、石油ランプの代わりにろうそくを使って勉強していたそうだ。スーツも一着しか買えず、修繕しながら5年間同じものを着ていたという苦労人である。

そんな中やがて政治活動に没頭していくマンデラ。当時の南アフリカでは悪名高いアパルトヘイトが行われていた。白人社会と黒人社会が分離され、人口の大半を占める黒人は就業や居住などあらゆる面で厳しく制限されていた。同じ職業で白人労働者と黒人労働者との給与の差が10倍になることもあったそうだマンデラはこのアパルトヘイトに抗議し徹底して戦った。

反政府活動の中でマンデラは逮捕され、終身刑判決を受ける。そしてこの後なんと27年間も刑務所で過ごすことになる。46歳から73歳までの27年である。普通の人間ならそこで絶望するところだろう。しかしマンデラは、共に終身刑となった仲間たちと共に採石場での重労働に耐え、さらに刑務所内の差別的待遇改善のために努力を続ける。乱暴な看守や所長相手にも決して卑屈にならず、権利を掲げて立ち向かったそうだ。

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マンデラが働いていた採石場

さらにマンデラ刑務所の中でも学ぶことを忘れなかった。小さな独房の中でわずかな時間を惜しんで読書に励んだという。また、大学の通信教育過程を受講し、苦学の末に南アフリカ大学で法学士号を取得している。これも恐るべき偉業だ。刑務所の中で勉強を続けるだけでも大変なことだが、彼はこの時70歳近かったのである。重労働と粗末な食事、いつ出られるか分からない絶望感の中でも、これほど前向きに生きられるのだと教えてくれる。マンデラいわく、人間の肉体には計り知れない適応力があり、強い意志と強靭な信念こそが生き抜く秘訣だったそうだ。

次第にアパルトヘイトへの批判が世界中で強まり、刑務所の待遇も改善されていく。徐々に希望が生まれ、白人政府との交渉が実現。そしてついに出所の日を迎える。

マンデラは選挙の結果、黒人の圧倒的人気を受けて大統領となる。大統領になったのは76歳だ。彼が取り組んだことは全人種の融和だった。つまり、彼は自分を長期に渡って刑務所に送り込んだ白人達を弾圧するようなことを、決してしなかったのである。一部の黒人達が今までの仕返しとばかりに白人攻撃に流れる動きを諫めることさえした。こうしたマンデラの姿勢が双方を次第に結びつけていったのである。(この辺りの話は『インビクタス』という本に詳しい。映画化もされている)マンデラは80歳を過ぎて大統領を引退し、2013年に亡くなった。

       

 マンデラは決して完璧な人間ではないし、自身も認めるように政治上でも間違いを犯している。しかし、それはマンデラを語る上ではささいなことだ。彼の信念、意志、寛容さにはただ尊敬の念しかない。

感動するのは、彼が27年間にも及ぶ長い独房暮らしの中でも、読書をし学び続けたということ。どんな状況や立場でも学び続けることが大事だということを教わった気がする。ましてや現代のように様々な学習環境が整った社会に生きている我々は、マンデラの姿勢を見習ってもっと学ぶべきなのかもしれない。マンデラも言うように、学ぶことは何かを変えるための最大の武器なのだ

ちなみにオバマ大統領がマンデラを非常に尊敬し、彼が収監されていた独房を訪れたそうだ。またマンデラの本の序文を書いたりしている。普通の人は行く機会はないと思うが、是非マンデラが過ごした日々を想像して欲しいと思う。

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マンデラが収監されていた独房