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あるまじろの読書日記

「なぜ、本を読むんだい?」「そこに本があるからさ!」興味のあるテーマは歴史とサイエンス。アラサー。関東在住。文章力が低く時折エラそうな書き方になりますが、どうかご容赦ください。( ̄ー ̄;

宇宙創成

        

先日、上野の国立科学博物館に行ってきた。

お台場の日本科学未来館も良いが、あちらが最新の科学技術が中心なのに対して、国立科学博物館は植物、動物、地学、化学など幅広いテーマを歴史的に扱っている。個人的に、こんなに楽しい場所は中々ないと思う。好きな人なら1日中ずっと楽しめる場所だ。一人で行ってもいいが、科学通の知り合いと一緒行くとさらに楽しめる。

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さて、その国立科学博物館の中にケプラーの惑星運動3法則やビッグバン理論についての展示があり、久々にサイモン・シンの『宇宙創成』を読み返したくなったのだ。

宇宙創成』は、現代宇宙論の中心であるビッグバン理論についての書籍である。ビッグバンについて書かれた書籍は山のようにあるが、初心者向けに理論の解説に終始しているものが多い。それに比べて本書はビッグバンのみならず、人類の宇宙観や科学史を古代から紐解いていく構成になっている。いかにもサイモン・シンらしい。

ハッキリ言って、メチャクチャ面白い。

既に数回読んでいるが、飽きずに何度でも読める。

サイモン・シン青木薫訳の書籍に、はずれはない。

ビッグバン理論については、科学通なら子供でもイメージは知っていると思う。宇宙の始まりは超高温・高密度の小さな点であり、それがある種の爆発を起こし、さらに膨張することで現在の宇宙を作っているとする学説である。

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かつてはアインシュタインも主張した、宇宙は静的なものだとする静的宇宙論もあったが、エドウィン・ハッブルによる宇宙観測の結果完全に否定されている。宇宙が膨張しているのはビッグバンによるものではなく、宇宙空間に新たな物質が生成されているからだとする定常宇宙論もあり、それなりに有力とされていたが、こちらも今では死に体となっている。

これに対して、ビッグバン理論は宇宙の成り立ちについてほぼ説明できる理論となっている。ただ、かつてはそうではなかった。

今の宇宙は水素ヘリウム99.9%を占めており、酸素プラチナなど重い元素の割合はほとんどない。ビッグバンの超高温状態で急激に軽い元素から重い元素への合成が行われたならば、重い元素がもっとあるはずだとする批判があった。

この状態についてビッグバン理論は十分な説明をできなかったが、フレッド・ホイルらの尽力によって、恒星内部での元素合成や超新星爆発による元素合成過程が明らかになり、現在のような元素比率であることは説明ができるようになった。(つまり、重い元素は星が合成している

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                    超新星爆発後の残骸

これは世紀の大発見だと思うのだが、貢献したフレッド・ホイルには何故かノーベル賞は与えられていない。一説によると、ホイルは歯に衣着せぬ物言いで有名であり、ノーベル財団は彼を嫌っていたという。この件ばかりではないが、ノーベル賞選定の基準が公正ではないことを示していると思う。ちなみに、宇宙膨張を発見して定式化したエドウィン・ハッブルにもノーベル賞は与えられていない。

ともかく、こうして主流派の地位を確立していったビッグバン理論であるが、まだ説明できないことはある。それは、ビッグバン以前は一体何がどうなっていたのかということである。これは想像がつかないし、ビッグバン理論の提唱者ジョージ・ガモフでも説明ができない。

そもそも、なぜ数兆℃になるほど高温かつ高密度の点があったのだろう。何とも奇想天外な話である。(神学的には神の力と説明できるらしいが)これは地球の生命誕生の瞬間が未解明なのと似ている。この不思議な点について解明できる日は来るのだろうか。

解明した人は間違いなくノーベル賞だろう。

ノーベル財団に嫌われていなければ・・・。