あるまじろの読書日記

「なぜ、本を読むんだい?」「そこに本があるからさ!」興味のあるテーマは歴史とサイエンス。アラサー。関東在住。文章力が低く時折エラそうな書き方になりますが、どうかご容赦ください。( ̄ー ̄;

韓非子

              

韓非子』は中国戦国時代の思想家、韓非の著した書である。韓非は韓という国に生まれ、「法家」と呼ばれる思想家グループに属していた。法家は、人間は基本的に怠惰で未熟な存在であるとする性悪説に基づき、政治をコントロールするために「法」の重要性を説いた。韓非は法家の重要人物である。法家の思想は秦の治世にもつながっており、悪名高い焚書坑儒は韓非と同門で始皇帝に仕えていた李斯という人物の進言による。

韓非の思想は、仁や徳を重んじる考え方とは正反対である。例えば、彼はこんなことを述べている。

・君主は決して臣下を信じてはならない

・議論は無用である

・良いことをしても、法を破った者は罰するべきである

このように、完全な性悪説に基づいた思想である。彼は厳格な法の運用と明確な賞罰によって国を治めるべきと説いた。彼は人間を信用しておらず、放置しておけば必ず欲望のままに行動し争いを始めると考えた。その結果として、絶対君主への服従と法による支配を主張した。

孔子孟子などの儒教思想と比べると、人間味がなく冷たい印象を受ける。そして、法に基づいた治世を行った秦が統一から十数年で農民反乱がきっかけで滅ぼされていることから、間違った思想と取れなくもない。

しかし彼は韓非子の中で、仁や徳を重んじる従来の発想では戦国時代は終わらせられない理由を述べている。昔とは時代が変わっており、その時代に合わせた治世の方法が必要だと説いている。李斯商鞅など法家の思想によって秦は強国となり、中国統一を実現したことを考えると、必要な考え方だったとも思える。

韓非子合理的であり、現実的である。目に見えない道徳や仁愛よりも、実力主義を推進し、国としての実利を追求すべきとしている。秦に優秀な将軍が集まり、精強な兵士が揃ったのも、この実力主義と厳格な法の運用によるところが大きい。

現代人には恐らくあまり受容れられない考え方だが、強い組織を作るための一つの方法論には間違いない。

日本の経営者には孔子の言葉である『論語』を引用したりする人が多いが、現実は論語のように理想的に進むとは限らない

仁や徳を説いて人を動かそうとしてもダメで、実際は給料アップボーナスが人を動かす原動力になったりする。もちろん韓非子は後者を想定している。

ビジネスも戦国時代と同じで、理想論ばかりでは生き残れないのも事実だ。行き過ぎは秦のように身を滅ぼすことになるが、強くなるために韓非の思想に学ぶこともあるだろう。現代人が読む価値は十分にある。