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あるまじろの読書日記

「なぜ、本を読むんだい?」「そこに本があるからさ!」興味のあるテーマは歴史とサイエンス。アラサー。関東在住。文章力が低く時折エラそうな書き方になりますが、どうかご容赦ください。( ̄ー ̄;

史記(3)

歴史 読書

             

秦の始皇帝の評価は大変難しい。

始皇帝は、現代視点で言えば悪行としか言えないことを多々やっている。

例えば、万里の長城が有名だ。元々長城は異民族対策として燕や趙が作っていたものだが、それをさらに強化したのが始皇帝である。この事業に何十万という大量の国民を動員し、厳しい労役で数多くの犠牲者を出した。(この時の長城は今の長城とは違い、馬を防ぐための高さ2m程度の壁に過ぎなかった)

始皇帝は、非常に厳格な法治国家を築き上げた。秦の宰相の李斯という人物は法家の重要人物で、前に書いた商鞅と極めて近い考え方の持主だった。始皇帝は彼を信頼して内政を委ねた。秦においては法の順守が何よりも優先され、法を犯した者はその理由に関わらず容赦なく処罰された。統治のためとはいえ、国民の不満を高めたことは間違いないだろう。

さらに、言論弾圧である。法家に傾倒する始皇帝にとって最も邪魔な存在は儒学者だった。法家は「統治の在り方は時代によって変えるべき」と説くが、儒学者は「古の帝王の統治を模範とすべき」と説く。法家が「法による統治」を説けば、儒学者は「道徳による統治」を説いた。思想が根本から違っていたのである。

そこで始皇帝が命じたのが、有名な焚書坑儒である。すなわち、秦の思想と異なる書物は全て焼き払い、儒学者を生き埋めにした。これは、後にも先にも類を見ないほど徹底した行為である。

結局、これらの政策が国民の不満の爆発につながり、秦は統一からわずか15年で滅びることになってしまう。秦の統治は、結果的には失敗に終わった。

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始皇帝は善人か悪人かと聞かれたら、間違いなく悪人と答えるだろう。

極めて非情で冷酷な帝王。しかし、彼が数百年続いた戦乱を終結させ、史上初めて中華を統一したのは紛れもない事実である。彼は、中華統一という宿願のためにあえて冷酷非情であり続ける道を選んだのではないだろうか。旧来の統治の在り方では中華統一はできないと悟り、覇道を進むことを決断したのではないだろうか。史記の記述を読む限りではそう思えた。

ところで、週刊ヤングジャンプで『キングダム』という漫画が連載されている。知っている人も多いと思うが、秦の始皇帝と家臣の将軍達の活躍を描いた物語だ。かなり脚色されている部分もあるが中々面白い。ちなみに宰相の李斯も出てくる。主人公が武官なので戦場での戦闘描写がメインだが、できれば李斯のような文官の活躍も描いて欲しいと思う。ハッキリ言って、秦が強国になり得たのは李斯ら文官の功績が大だからだ。法は剣よりも強いという所を是非漫画の中で見たいと思う。