あるまじろの読書日記

「なぜ、本を読むんだい?」「そこに本があるからさ!」興味のあるテーマは歴史とサイエンス。アラサー。関東在住。文章力が低く時折エラそうな書き方になりますが、どうかご容赦ください。( ̄ー ̄;

決定力を鍛える

              

旧ソ連に生まれたチェスの元世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフの本。カスパロフの名前が最近登場したのは、囲碁の世界で人間VSコンピュータが大々的に報道された時だろう。チェスでは囲碁よりずっと前から人間VSコンピュータの対戦が行われていたが、敗れたのがこのカスパロフだからだ。(もっとも、全く歯が立たなかったわけではないらしいが)

コンピュータが人間を超えた時、世の中はどうなるのか?という問いかけは最近至る所でなされているが、チェスの世界ではいち早くその変化が起こった。カスパロフの敗北以降、チェスの世界ではコンピュータを活用することが当たり前になっている。コンピュータの指し示す手をどれだけ取り入れられるかが勝利のカギになるからだ。

コンピュータが圧倒的に強くなったからと言って、チェスの人気は全く衰えていない。日本では将棋や囲碁の方が人気が高いが、西洋では圧倒的にチェスの方が人気だ。ちなみに世界のチェスの愛好者数は7億人だという。将棋のプレイヤーが1200万人程度だというから、その規模の大きさには驚くほかない。僕も最近チェスの歴史に興味を持ちチェスを覚え始めたが、恐らく短時間で気軽にプレイできるのが人気の秘訣なのだと思う。将棋や囲碁も面白いが、覚えることが多くてとっつきにくさはある。

さて、そのチェスの世界で頂点に立ったカスパロフはまぎれもなく「天才」である。200近いとも言われるIQなど地頭の良さも確かにあるが、それだけではない。彼は歴史に明るく教養人でもある。現在はロシアで反プーチン寄りの政治家として活動しているが、政治家としても一流のようである。分析の深さ、合理的精神、視野の広さなど、見習うべき点はたくさんある。

カスパロフは、まず自分の無意識を意識化することから始めるべきだと説く。すなわち、無意識の内に行っている思考や行動の組み合わせに注目し改善していくことが、自己成長プロセスにつながるという。簡潔に言えば「反省」ということになるのだろうか。しかし、カスパロフが説いているのは日常によくある形式的で安易なものではなく、真剣かつ深い反省だ。僕もこれには思い当たることがある。仕事で同じ間違いを繰り返したり、上手くいかないことが続いた時は、いつも頭を使っていないのだ。考えるのが面倒だから、適当にやって失敗する。逆に上手くいった時は、冷静に状況を見極めて、適切な準備をしていたと思う。

仕事上で誰かに教えることもあるが、他人を見ていてもそう感じる。失敗を繰り返したり上手くいかない状態が続く人は、あまり頭を使って考えていないように思える。大事な時こそもっと真剣に、合理的に分析を行うべきなのだ。

本書にはそのためのノウハウが詰まっている。

チェスに関心がない人でも読める作りになっている。10年近く前の本だが、特に頭を使う仕事をしている人にとっては間違いなく勉強になるので、是非読んでみて欲しい。