あるまじろの読書日記

「なぜ、本を読むんだい?」「そこに本があるからさ!」興味のあるテーマは歴史とサイエンス。アラサー。関東在住。文章力が低く時折エラそうな書き方になりますが、どうかご容赦ください。( ̄ー ̄;

地底旅行

            

海底二万里』『八十日間世界一周』などでお馴染み、ジュール・ヴェルヌの作品。

ジュール・ヴェルヌの作品は、どれも自然科学に忠実である点に特徴がある。もちろんヴェルヌは19世紀に生きた人間なので、今から考えると誤った理論もあるのだが、それでも当時の最先端の科学知識をふんだんに盛り込んでいるので、理系の人間にも十分楽しむことができる。

『地底旅行』は、鉱物学の教授であるリーデンブロック教授とその甥アクセル、さらにアイスランド人の案内人ハンスが、とある錬金術師が残したメモを頼りに地球の中心を目指していく物語である。

今でこそ地球の中心に行けるわけがないのは常識だが、当時は必ずしもそうとは考えられていなかった。地球の年齢から成り立ちに関してもあらゆる説があって、未解明の部分が多くあったのだ。宇宙もそうだが、未知のものほど人の興味や想像力をかき立てるものはない。ヴェルヌが地底を題材に選んだのもそれが理由だろう。

物理学、鉱物学、地質学、生物学などの知識も至る所に登場する。その分野に詳しくない自分にはそれが正しいのかどうかすら分からないが、巻末の解説を読む限りはおおむね正しいようである。それにしても、当時によくぞこれだけの考証を行ったものだと感心させられる。現代のように、欲しい文献がすぐに手に入る時代ではないのだから。ヴェルヌの自然科学に対する敬意と、作品に対する意志を感じる。ヴェルヌの家はきっと自然科学に関する本で一杯だったに違いない。

地底については現代でもまだ未知の部分があるようで、特に極地の氷の地下には古代の生命体が生き残っている可能性は十分にあるらしい。そう考えると、ヴェルヌの地底旅行も全く荒唐無稽な話ではないのだ。この「あり得ない話だが、絶対ないとは言い切れない」という、空想の余地の残し方がヴェルヌは抜群に上手い。

ちなみに、ドラえもんの映画で『のび太と竜の騎士』という作品があるが、これは明らかにヴェルヌの『地底旅行』の影響を受けている。『のび太と海底鬼岩城』は恐らく『海底二万里』の影響を受けている。ヴェルヌはSFの先駆者として、宇宙から海底まであらゆるものを扱ったので、全く影響を受けていないものを探す方が難しいのだが。

とにかく、誰が読んでも面白いことは間違いない。ページを進める手が止まらず、500ページ近くを正味3日で読破してしまった。