あるまじろの読書日記

「なぜ、本を読むんだい?」「そこに本があるからさ!」興味のあるテーマは歴史とサイエンス。アラサー。関東在住。文章力が低く時折エラそうな書き方になりますが、どうかご容赦ください。( ̄ー ̄;

アイデアのつくり方

              

アメリカの広告業界では有名な人物であるジェームス・W・ヤングの著作の翻訳。広告業界の人を想定して書かれているが、他業界の人にも間違いなく役に立つ内容だ。

この本は正味60ページ程度しかない、とても薄い本である。しかし結論は非常にコンパクトにまとまっていて、無駄のない実践的な内容となっている。読んだその日から即実践可能だ。

21世紀はまさに情報が溢れる時代で、ネット検索や書籍で手に入らない情報はほぼなくなったと言って良い。南米の料理に興味があれば「南米 料理 レシピ」などで検索すれば、レシピから関連情報、関連書籍が山のように出てくるだろう。

しかしそんな時代になっても、アイデアの貴重さは変わらない。映画や漫画、アニメでも前例を打ち破るような作品は続々と登場しているし、テクノロジーの分野でもまだまだ進歩の余地がある。20世紀の初頭に、もうほとんどの科学的発見はされてしまったという結論を出した科学者がいたそうだが、それが間違っていたことは明らかだ。アイデアの種はまだまだ無数にあるのだ。

本書はそのアイデアにどのようにしてたどり着くかという創造の過程を理論化したものである。ヤングは「イデアとは既存の要素の新しい組み合わせに過ぎない」と言い切っている。そして、物事の関連性を見つけ出すことによってアイデアが生まれるとも。彼は5つのステップを提示している。

 

1.資料と知識を収集する

2.得られた知識を組み合わせる

3.時間を置いて寝かせる

4.アイデアが創造される

5.現実に合わせてアレンジする

 

ちなみに1の資料と知識とは、営業マンなら販売する製品とターゲットとなる顧客に関するものということになるが、それだけではない。同時にそれとは全く関係のない一般的知識の蓄積もヤングは勧めている。それはつまり「世の中のあらゆることに関心を持とう」ということである。

ヤングによると、優れた広告マンはみなあらゆる方面の知識をむさぼり食うような人間だということだが、これは広告マンだけに限らないと思う。政治家、科学者、作家、ビジネスマン、優秀な人は世の中の多方面に関心を寄せている。

『十五少年漂流記』や『海底二万里』でお馴染みのジュール・ヴェルヌは想像力の化身のような作家だが、著作を読む限り彼は間違いなく世の中のあらゆることに関心を寄せていた。SFの大家、ウェルズなども同様だろう。

今の世の中、すぐに役立つ専門的知識ばかりがクローズアップされ、一般的知識=教養の価値は低いように思う。しかし、こうした功利主義的な価値観の下では、新しいアイデアは出にくいのではないかと、本書を読んでつくづく感じた。

身に付けた知識がいつどこでどんなアイデアをもたらすかは誰にも分からないのだ。